2019年5月31日金曜日

野鳥観察地を掲載しないことについて

私のブログでは野鳥を観察した地名の掲載がほとんどないことで、ある方から

「ヒヨ吉さんのブログをよく見ているのだけれど、もっと鳥を観察した場所の情報を詳細に載せて、我々に野鳥観察の楽しみを提供するべきではないか。野鳥は君だけのものではないのだから」

という趣旨のことを言われました。


その場でも丁寧に説明をしたのですが、野鳥の生息地を具体的に載せることはあります。行政が野鳥観察を観光資源の一つとして捉えて観光客を誘致をしていたり、地域の野鳥保護に携わる団体が情報を積極的に発信している地域は掲載をしています。


その一方で地名の掲載を控えることもあります。


生息地に関する情報を無条件に広く伝えると、周辺の住民の方や地域の自然環境に大きな影響を与えてしまうことがあるというのが、その理由です。


インターネットは非常に便利なツールですが、こちらが意図しない情報の使われ方をする可能性も非常に高い媒体だという認識が必要であると、そのような例に触れるたびに思っています。


鳥たちの生活の場にお邪魔している感覚をもち、撮影や観察で「周辺に暮らしている方々と鳥たちに粗相のないように」したいものです。


そんな難しいことではなく、自分がされたら嫌なことはしない、という判断基準で良いとお勧めをしています。


例えば、藪に鳥が隠れて出てこないときは、ちょっと風邪をこじらせて家の中に居たい自分を思い出してみてください。


誰でも「またの機会を待とうか」という気持ちになります。「ちょっとくらい駐車してもいいか」と思ったら、自宅前に勝手に止められることを想像してみてください。鳥のいる方向に住宅があったら、自分の家の方向に双眼鏡やカメラを向けられたら、どんな気持ちかを考えてみれば、自ずと判断はできると思います。


「そんなことを呑気なことでは、鳥との出会いのチャンスがどんどん逃げていく」ということをご年配の方に言われたこともありますが、その場にいるからと言って、その鳥に必ず会えるものでもありません。

ケアシノスリが出ているその場で、私の見ていた方向が180度違って逃したこともありますし、北海道ではちょっとお手洗いに行っている間にクマゲラが出たこともあります。


こんな経験があると、鳥との出会いは運だとつくづく思います。

それならば、観察したい鳥の好む環境を学び、その鳥がたくさんいる地域に足しげく通うほうが効率が良いものです。


このプロセスは結構楽しいものです。それがちょっと手間だな…と思う方は、まずぜひ野鳥の会の支部の探鳥会へお出かけください。きっと鳥と出会う以外にも、たくさんの喜びがあると思います。

お住いの地域やお出かけになる地方の支部の探鳥会をお探しの方は、こちらのサイトへどうぞ。

日本野鳥の会 支部一覧

たくさん楽しいことがある探鳥会へ、ぜひお出かけください。

2019年5月30日木曜日

31℃の森

例年は芽吹きの頃に出かける森へ、今年は葉の伸びた5/27-29に訪問しました。27日は都内も暑かったようですが、到着時の気温は標高の高いこの場所でもなんと31度!暑かったです。しかし、この時期は鳥の数が多くて本当に楽しいです。29日にはホトトギスが飛来したようで、上空を飛び回っていました。初日と最終日はホオジロやキビタキ、アカハラをゆっくり観察できました。

ホオジロ

キビタキ

アカハラ

今年はコルリの数が多いようです。野鳥がメインの観察対象ではない方々とも一緒だったのですが望遠鏡で「瑠璃色」を観察されたときは本当に素敵な笑顔でした。野鳥観察の楽しさを伝えていきたい一人として、とても嬉しい瞬間でした。

2019年5月23日木曜日

ヨーロッパへ

ヨーロッパへ行ってきました。行きも飛行機乗り継ぎがちょっと慌ただしくて大変だったのですが、帰りの飛行機はフライトそのものが中止になって、帰国にヒヤヒヤしましたが、受付カウンターで私の前に並んでいた紳士と若いカップルがの私の代替便チケット入手で助けてくださって、無事に帰ってきました。初めてフィンランド経由便に乗りましたが、非常に快適でした。

FINNAIR at NARITA

訪問期間は5/8からなんと2週間!観たいと思っていた多くの鳥に会えた、まさに夢のような時間でした。訪問した内容の一部はBIRDER誌面でお伝えすることが決まりましたが、本当にごくごく一部ですので、講演など何かの機会があれば、ありがたいですね。

2019年5月21日火曜日

IPBESが生物多様性の報告書    「100万種が絶滅危機」

地球上でこんなにも多くの鳥たちが絶滅の危機にあること。深刻に受け止めています。人間が、できることからでもいいので、取り組む必要性を感じています。

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5/6(月) 19:31 毎日新聞配信
「100万種が絶滅危機」IPBESが生物多様性の報告書

世界中の専門家が参加する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は6日、陸地の75%が人間活動で大幅改変され、約100万種の動植物が絶滅危機にあるとの報告書を公表した。現在の絶滅速度は、過去1000万年間の平均に比べて10~100倍以上で、さらに加速しているという。

 同組織は生物多様性や自然の恵みなどを科学的に評価しており、初めて地球規模の現状や将来予測をまとめた。

 報告書によると人間活動で世界の海域の66%が影響を受け、湿地の85%は消滅、16世紀以降に少なくとも680種の脊椎(せきつい)動物が絶滅した。過去40年で絶滅リスクは上昇し、現在は約25%の動植物が危機に直面。両生類40%以上▽造礁サンゴや海生哺乳類約33%▽昆虫約10%――で絶滅可能性がある。

 プラスチックごみの海洋汚染は1980年以降10倍にもなり、少なくとも267種が悪影響を受ける。そうした生物はウミガメの86%、海鳥の44%、海生哺乳類では43%にも上る。

 人間の生活への悪影響も深刻で、ミツバチなど花粉媒介生物の減少で最大年5770億ドル相当の穀物生産が失われる恐れがある。生態系やサンゴ礁の劣化で沿岸地域の防災機能が低下し、1億~3億人が洪水やハリケーンの被害を受けるリスクが高まっている。

 社会変革を伴う対策がなければ、生態系や自然からの恵みが減少する傾向は2050年以降も続くと予測。地球温暖化も悪影響の主な原因の一つで、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に基づき産業革命前からの気温上昇を1.5~2度に抑えても、ほとんどの陸上生息域は大幅縮小するという。

 10年に名古屋市であった国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では生態系保全のための愛知目標が採択されたが、20の個別目標のほとんどは期限の来年までに達成できない見込みだ。IPBESのロバート・ワトソン議長は「人間の経済や食料安全保障、健康などを支える(生物多様性という)基盤を我々自身がむしばんでいる。あらゆる面で対策をスタートさせなければならない」と指摘する。【大場あい】

 ◇生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)

 生物多様性や生態系サービスの現状や変化を科学的に評価し、政策提言する政府間組織。国連環境計画の主導で2012年に設立され、132カ国が参加する。これまでに花粉媒介生物と食料生産に関する報告書などを公表。今回の地球規模報告書は、50カ国145人の専門家が執筆を担当した。地球温暖化問題では、1988年に設立された「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が同様の役割を担っている。
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2019年5月7日火曜日

ユキヒョウ・ボランティアツアー2019のお知らせ

野生生物カメラマン・秋山知伸氏が同行するユキヒョウと人との共存の道を探るボランティアツアーが、今年も企画されています。

8月の夏休みの思い出にいかがでしょうか。


過酷なヒマラヤの環境に生きるユキヒョウは時々家畜を襲ってしまうのですが、地域の人の貴重な財産である家畜がユキヒョウの被害に遭わないように、頑丈な避難小屋を作成します。


高地での作業のため、きちんと休憩も入れて作業をします。


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ラダックでユキヒョウと人との共存の道を探るボランティアツアー 2019 

https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/HDIN01/index.html

お問い合わせ・お申し込み先
西遊旅行 東京本社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-2 共同ビル神保町3階
TEL 03-3237-1391(代表) / FAX 03-3237-1396
営業時間:月曜~金曜 10:00~18:30 (土・日・祝祭日 休業)

※このツアーでは、秋山氏が撮影を通して感じた「地域の人のユキヒョウへの考え」や秋山氏自身の「野生生物への想い」を形にしたボランティアツアーという枠組みを十分理解してのお申し込みをお願いします。3000-4800mという高山帯に行って作業をしますので、申し込みをされる場合には健康状態などをお伝えする必要があるかもしれません。ご了承ください。
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去年私が参加した時の様子を8回に分けて当ブログで紹介しています。興味のある方はこちらをご覧ください。(注:1回目のアドレスを表示していますので、2回目以降は右側のブログアーカイブ2019年9月欄から読みたい回を選択してご覧ください)

http://hiyokichibird.blogspot.com/2018/09/we-are-living-with-snow-leopard-vol01.html

2019年5月5日日曜日

最初の一声はクロツグミ!(4:10)

5月最初の日曜日はInternational Dawn Chorus Dayと言って、夜明けの鳥のさえずりを聴く日で英国などではその探鳥会も行われているようです。しかし、英国にいなくて早起きが苦手な私はその記録をICレコーダーですることにしました。

Dawn Chorus Day
https://www.muddyfaces.co.uk/event/international-dawn-chorus-day/2019-05-05/
https://twitter.com/idcd
https://www.youtube.com/watch?v=FKr4F1I8Uvs

5/5、最初の声は04:10に遠くで鳴いたクロツグミでした。04:11にはキビタキが鳴き始めました。04:20にはヒヨドリ、04:22にはメジロが加わりました。メジロが一羽鳴き始めると他のメジロも急に鳴き始め、にわかに森の中が賑やかになる様子がわかりました。今季初のツツドリも録音でき、楽しい録音となりました。

森の夜明け(録音場所の画像ではありません)

4月下旬のレコーダーにはヤブサメやコマドリが入っていたのですが、5月に入ってからは記録されなくなりました。できればもう少しレコーダーを入手して、調査している雑木林の春の渡りの雰囲気を記録したいと思っています。

2019年5月3日金曜日

Panasonic Lumix FZ300

I have got a new digital camera, Panasonic Lumix FZ300 for wildlife photographing. It has dust proof and fog proof, will be very useful for field working. 25-600mm f2.8 is enough to take pictures for birds, also manual focusing dial is very useful when bird is in the bush, for example.

The camera has been sold since 2015, so it is not the latest gear. However it is enough for me and I could have good discount.

これまで使っていたPowershot SX60を下取りしてもらうことができるというのもあって、マクロから望遠まで対応する便利なネオ一眼を事情あって急遽買い換えました。

新たに購入したのはPanasonic Lumix FZ300です。


発売が2015年9月とのことなので型としては古く、しかも在庫僅少で展示品販売かと思いきや、販売店の方が機転をきかせてくれて、新品で買うことができました。Powershot SX60にはなかった「マニュアルフォーカス機能」があり、これからは薮の中などにいる野鳥の撮影で「もう一息のピント調整」ができると思っています。防塵防滴なのでフィールド使用での安心感が増したと思っています。

私がネオ一眼を選ぶときに重要視しているのが液晶モニターが反転できること。暗くなってからモニター光の遮断撮影できることは夜の生物撮影への影響を最小限にできると考えています。

Lumix G8を使っていることもあり、操作ボタンのレイアウトも使いやすさを感じました。ソニーDSC-HX400Vと非常に迷いましたが、液晶モニターが反転しないことやGPS情報設定があるため貴重な生物を撮影したときは私の場合はうっかりミスしそうなので今回は見送りました。

Powershot SX60に比べると倍率差がありますが、これまでSX60の高倍率ではあまり良い画質を得られずに倍率を低めで撮影して後でトリミングをすることも多かったので、600mmあれば十分なのではないかと予想しております。一眼レフとの使い分けをうまくして、訪問する自然環境や野生生物の記録に役立てていきたいと思っています。

2019年5月1日水曜日

全国47都道府県鳥に出逢う旅を終えて

BIRDER誌の取材で全国47都道府県をまわりました。2019年6月号でその最終回(日本国鳥のキジを取り上げます)となります。日本という国の自然の豊かさとその自然の特性を理解するために献身的な活動をされる方々との出会いは感動の連続でした。


またそれぞれの地域の日本野鳥の会支部報や、野鳥観察グループの会報を拝見する機会がありましたが、一般種の詳細で正確な生息情報や貴重な野鳥観察記録やデータが掲載されており驚きの連続でした。ネット上などでは発信されないであろう情報が惜しみなく報告されていることにその地域の潜在能力の高さを感じずにはいられませんでした。

東京をはじめとする都市圏では、珍鳥の情報に躍起になるカメラマンのほうが目に付くのに対し、身近な鳥の動向や季節移動、毎年飛来する猛禽類の初認と終認の日を地道に調べている方がいらっしゃいます。こういうデータ収集が基礎となり、鳥の保護や環境の保全につながっています。


野鳥記録がきちんと残る仕組みがある地域で、私の行動圏と重なる地域もあり、微力ながらお役に立てそうな場所もありました。少しずつですが、地域の鳥類相の解明に貢献していかれたらと思っております。取材でお会いできたことを大切にした時間をこれからは過ごしていきたいと思っております。