2018年9月26日水曜日

下村兼史生誕115周年「 100年前にカワセミを撮った男」写真展に行きました

DMも早々に受け取り、さらに多くの人からご紹介をいただいた下村兼史生誕115周年「100年前にカワセミを撮った男」写真展にようやく昨日行くことができました。外は激しい雨にもかかわらず、会場は盛況の一言に尽きます。野鳥の写真展としては異例とも言える混雑ぶりでした。


この写真展を精力的にご準備された塚本洋三さんに久しぶりにお会いできました。多くの方へのご対応でお忙しそうでしたので、長くはお話しできませんでしたが、下村さんへの想いなどを直接お聞きできたことは幸せでした。


下村兼史さんが使っていたものと同型機のグラフレックスカメラも展示されていました。シャッター音が、なんとも言えない非常に心地よい音でした。動いたことで出る「音としてのやわらかさ」がある、と言ったらお分かりいただけるでしょうか。

下村兼史さんが野鳥撮影をするときに工夫した「紐をくくりつけたシャッター」もわかるようにしてありました。

当時としては高性能ですが、フォーカスはもちろん手動ですし、レンズも現在の「昼間のように明るい」というものではありません。露出とシャッタースピードの調整は側面の表を見て設定するというもの。全てがアナログの機材ですが、その手間を感じさせないほどに生き生きとした野鳥たちの瞬間を捉え続けた下村兼史さん。それに画面構図はまるで絵のよう。当時の機材で、このクオリティは本当にすごいことです。その情熱は、私の憶測などで測れるものではないだろうと思わずにはいられません。今の機材で「うまく鳥が撮れない」というのはまったくの見当違いだと、つくづく思わせる写真ばかりでした。今の機材や連写撮影を下村兼史さんが見たら、驚くでしょうか。それとも嘆くでしょうか。そんなことも想いながら拝見しました。

会場内の写真は撮影可とのことでしたが、彼の撮影労力を考えると、とても撮影はできませんでした。

今はデジタルカメラで、調整はほぼ全てカメラ任せ。さらに、やろうと思えば1日何千枚も撮れる便利な時代となりました。しかし、それゆえに鳥との出会いの大切さや撮影のタイミング、撮影した後の鳥の生活への配慮をおろそかにしてしまうことにも繋がっているように感じます。

私も写真撮影をしますが、「鳥を撮影することは、一つの命と向き合うこと」ということを、下村兼史さんが写真が通して穏やかに教えてくれているように思います。一枚に込める想いを大切にしなくてはと思います。次回の展示があるかどうかはわかりませんが、機会があればその展示にも足を運んで、鳥との出会い方を学んでいきたいです。

展示内容には、お人柄が醸し出される「おしゃれな生き方」にも触れられており、学ぶべきものが本当にたくさんありました。またご本人が描いた絵も展示されており、色の選定などには私には多くの発見がありました。

展示会場でご案内くださった全ての関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

そして、塚本洋三さんへ。ご準備で本当に大変だったと思いますが、素晴らしい展示会を開催してくださったことに心から御礼を申し上げます。

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