まだ風が涼しくなる前の話です。それは私にとって、衝撃的な質問でした。
「鳥に関連した仕事をしているヒヨ吉さんのような方は別にして、撮影した野鳥の画像って、ブログやコンテスト応募以外に何の役に立つの?」
ある場所で初めて出会った若者が、私の撮影機材がそれほど高価でない様子を見て、ご年配の方々が野鳥撮影のために揃えている超高額撮影セットの意義についての意見です。
「写真でデータとして持っていても、その記録をどこかにレポートするわけでもないから、HD内にあるデータは無価値でしょ? 仮に撮った人が亡くなって、遺族がそれを見てもただ鳥の写真が延々と続くファイルを見てどう思うのか。最終的にはそのまま捨てられてしまうだけ。だったら、ちゃんと後世に役立つ観察記録を残して欲しいです」
さらにその人は続けました。
「年配者の野鳥ブログって、“ピントが合っている”とか “飛び出しの瞬間” という機械任せの結果のものがほとんどで、第三者にははっきり言ってどうでもいいものです。それに、同じような写真を何枚も意味なく載せてて、ことごとくつまらない。綺麗に撮れたというだけの、無意味な写真ばかり。識別点がちゃんと写っているとか、こういう行動を見たとか、ちょっと変わった個体の詳細が判断できるような写真や、新たな識別点にはなり得ないかという提案や解説のためとか、そういう何か情報のある写真なら掲載する意味があると思いますけど」
そしてスイッチが入ったのでしょうか。こんなことも言っていました。
「アクセス数を気にして、その数を増やそうと大事な野鳥のいる場所を書き込んで、多くの人が来たことで自分だけが満足。でも、その生息地を公表したことで人がたくさん来てダメにする…許せないです。“野鳥生息環境破壊罪”って作れないかって思う時があります」
こんなことを感じている若者がいることを私も含めて認識し、後世に役立つものを残すことを意識して行動することが大切だと思うようになりました。正直、ハッとさせられました。
私ができる『後世に役立つ仕事』について、この言葉を聞いた後からフィールドを歩きながら考えています。
(お断り:今回の内容について、ブログ掲載許可を本人からもらいましたが、個人特定に繋がるような記述は控えました。ご了承ください)
ヒヨ吉さん
返信削除こんにちは。久しぶりにサイト訪問。1日及び5日の記事、大いに考えさせられる内容で、こういう声をもっと珍鳥追っかけ魔に聞いて欲しい内容です。
(飛躍し過ぎるかも知れませんが)私だったら、観察記録を残し後世に伝えることこそが野鳥観察の醍醐味で、私も関係した「野鳥の会 神奈川支部の鳥類目録作り」を紹介してやりたいです。
これを通して大きく言うと、野鳥の生態、行動(これが秀逸!!)、生息分布、繁殖分布等々、年毎、季節ごとの記録が全県にわたり逐一記録されていますので、これは絶対に後世に残る野鳥記録と思います。
スズメ、ムクドリ、ハクセキレイ、トビ、キジバト等々何処にでもいる鳥たちの観察を通して、鳥たちのいる環境を考え、この環境を残していくにはと、どうすれば良いのか等々が次から次へと出てきます。
人間の生活環境と大いに関係するスズメ一つの分布にしても、分布図を見れば一目瞭然で、がってん!!合点!!になるはずです。
こんな事を考えていました。 「後世に役立つ仕事」の一つが観察記録を後世に残すことではないでしょうか。カンムリウミスズメ
カンムリウミスズメさん、
削除おひさしぶりです。コメントありがとうございます。日本野鳥の会の各支部へ訪問した時に、私が神奈川だとお伝えすると、「野鳥の会 神奈川支部の鳥類目録みたいなものがが出したいと常々思っている」と、口を揃えておっしゃいます。ただ、取りまとめをする人員確保、実際の調査に関われる状況(自然環境へのアプローチのしやすさなど)も大きな要因で、やはり神奈川はとても恵まれていたと感じます。
自然環境と生き物のつながりをみる楽しさを多くの人が私に伝えてくださった恩返しを、そろそろ本気でしていかないといけない世代に私もなってきましたので、記録をコツコツ積み上げていきたいと思います。
カンムリウミスズメさんに、コメントをいただけて、改めて勇気をいただきました。ありがとうございます!