とある水辺で望遠鏡で鳥を観察していると、大きなカメラを携えたご婦人がいらっしゃって、すれ違いのタイミングで会釈をすると、遠くの杭に止まっている鳥の種名を教えて欲しいとのこと。
鳥の名前をお伝えし、「せっかくですから、実際の鳥もぜひ」とその鳥を望遠鏡で見ていただくと、
「望遠鏡って、こんなによく見えるものなのね!」
と感激されてお礼を言われました。すれ違う前から私の様子をご覧になっていたようで、私がカメラを持っているのに撮影をせずに観察をしていたのかも不思議に思われていたそうです。「観察」が野鳥を知る上で役立つ点を話すと、大きくうなづかれていました。
その後、数回フィールドで再会すると、まず三脚のカメラが望遠鏡に変わり、次に双眼鏡を手にされました。「バードウォッチングの醍醐味は、『観察』ですね!」という言葉をいただきました。観察好きとしては、観察することを楽しいと思ってくださる方が増えるのは、嬉しいです。
このような話題のついでと言っては何ですが、フィールドでは、若者や女性たちのグループで以下のような感想を持たれることもあるようです。
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有名スポットや珍鳥ポイントにいる年配カメラマンたちの傍若無人さがウザい
初訪問の場所で、“それ以上は近寄るな!”という感じで睨まれた。二度と行かない
女性だけで鳥を見ていると、やたら声をかけてくるオッサン。キモい
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などなど。他にもありますが、枚挙に遑がない状況です。これらの感想は、実は時々友人知人が
「ヒヨ吉さん、今後の活動の参考になれば 笑」
と、twitterやfacebookの投稿画面を送ってくれたものの一部です。
「野鳥カメラマン」でネット検索をすると、「怖い」「迷惑」「マナー」などが続きます。このような言葉が出てくるということは、私の推測以上の人数がそのような経験をされていそうな気配です。
私も年を重ねて、声の大きさや話かけのタイミングについては配慮の必要な年齢になりました。いずれ目も衰えから、そのつもりはなくても相手には睨んでいるように感じられてしまう可能性が高くなるでしょう。自分の行動に気をつけていかなくてはと思いました。
「バードウォッチャー」や「バードウォッチング」で検索すると、「つまらない」という言葉も上位に現れました。そのような経緯から、鳥好きの一人として、Bird Watchingが「気持ちの良い交流の場」となるために取り組むべきは何かを考えてきました。
そこで、身近な野鳥の生態を自分なりに調査して具体的な数値で捉え、話題にボリューム感を持たせることを新たな目標としました。以前、若い世代の方々との話で「データに基づかない多くの野鳥カメラマンやバードウォッチャーの話は、興味をもって聞き続けるのが難しい」という言葉に衝撃を受けたことも、その目標を掲げた基礎になっています。
コロナになって時間もできたこともあり、ごく限られた種ではありますが、データを取ったものに関してここ数年、研究報告誌に観察記録として投稿をしております。
それを思いのほか評価してくださる方々がいることに感謝しています。そして、そのような経験を通して、若者たちが言っていた「具体的なデータに基づく話の重要性」の意味するものを理解できるようになりました。
自分から話す野鳥のトピックに独自性を持たせられることで、年齢やバードウォッチング歴が隔たりとならない交流の場に少しでもなるように、私のできることをこれからも模索していきたいと改めて考えています。
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