「こういう失敗で、時間をロスしないでほしい」
「こういう準備をしておくと、あとあとスムーズに物事が進む」
などと短時間で要点を伝えなくてはいけないことが多かったので、ただでさえ五月蝿い私の話がもっとやかましいものであったと思いますが、それでも何か感じてくれたものがあったのか、後日お手紙をいただいたり、こんな絵を描きましたと送ってくれた人もいました。
年を重ねた人間の役割。それは、若者にとって、自分がどれだけ役に立てるかであると感じています。
今、プロのカメラマンとして活躍をしている若者がいます。彼がまだその道に行こうかを迷っているときに、彼の写真を見る機会がありました。もともとクオリティの高い写真でありましたが、雑誌に使ってもらいやすい写真の構図や、画面構成についての話をしていたところ、ある方さんから、
「ヒヨ吉さん、そんなに教えちゃっていいの?」
と心配されました。
私は、自分自身が多くの仕事を取ることよりも、自分の将来に期待を膨らませる若者が育っていくのを見る喜びのほうが上ですと応えると、非常に驚いた顔をされていたのが印象的でした。
そもそも、私が伝えられることは技術ではなくて “コツ” のようなものです。たいしたことでなく、おそらく彼等がこの先何らかの形で気がつくことですので、それは先に伝えて、ドンドン伸びていってほしいというのが、私の一番の願い。
出し惜しみをしてもまったく意味がありません。
私が34のときに実母が亡くなったのですが、母の年齢から自分の人生の逆算をして、自分のやりたいことを紙に書いたとき、死ぬまでにすべてを終えることが不可能なことが判明し愕然としましたが、ならば私は同じような期待を胸に進む若者たちのサポートをしようと決意しました。
イラストを描いたり、自然に関わる仕事を楽しくできる業界にするには、一人ががむしゃらに仕事をこなすだけでは、うまくはいきません。若者たちに託さなくてはいけません。
若者の質問や疑問に対し、キーポイントを教えない人生の先輩方が時々いますが、私にはこの行動が理解ができません。「自分自身でキーポイントに気がつくことが大事だからだ」と言う人もいますが、それはその人の一つの考え方にすぎません。
私に鳥の観察方法や絵の描き方を教えてくれた方々は、惜しみなく知識を教えてくださいました。そういう方々への感謝の気持ちは絶対に忘れないですし、生き方としてとても尊敬をしています。
また、そんな生き方をしたいと、鳥や絵を通して教わりました。
2018年も、私の健康とお財布が許す限り、若者へのサポートを進めていきたいと思います。
若者たちが自然や野鳥を紹介する業界にどんどん入ってくることを期待しています。そして、いつか彼等と一緒に仕事ができるためにも、自分のレベルを上げていくことに精進したいと考えています。
“ヒヨ吉さんと仕事がしたいです”
そんなことを若者からいつか言ってもらえるように、彼等に振り落とされないように、私自身も頑張らなくてはいけませんが、若者たちは私の想像以上に早い段階で活躍しているので、私の出る幕がなくなるのも近いかもしれません。
もちろん、それに焦りがないと言ったらウソになりますが、やはりワクワクするほうが上ですね。
若者が育っていく喜び。
これに勝るものは、人生で、なかなかないものです。
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