ご存知の方も多いと思いますが、関東には有名な湿地性鳥類の生息地があります。毎年サンカノゴイが飛来することで知られ、私も毎年行く場所です。
草が伸び、カメラマンがいなくなった時期に、サンカノゴイの声を聞きに行きました。夕方に現地到着だったためか、独特のボォー、ボォーという声を聞いていたのは私だけ。ヨシの上を流れる風に乗るその奥深い声に聞き惚れていました。
ちょっと用事ができ、湿地が見渡せる堤防道路から離れた時間が15分くらいだったと思います。ふと堤防下の道で耳を澄ますと、先ほどまでの「ボォー」の前に息を吸っているような声が入った「フー、ボォー」という2節の声が聞こえました。サンカノゴイは堤防のそばまで来ているようです。
そーっと堤防の上に上がると、また「ボォー」という1節にしか聞こえなくなりました。音源は明らかに奥の草地へ移動しました。
試しにもう一度堤防の下で声がするのを待つと、再び「フー、ボォー」という2節の声になりました。今度は身を低くして堤防に上がって草影に私の姿が隠れるように潜むと、確かにこの2節の声が聞こえました。この一連の声の聞こえる場所の変化から、サンカノゴイは堤防の近くで鳴きたいのだろうと推測し、その日はもう帰ることにしました。
帰り道、これまで日中に堤防上で観察していた自分は、ひょっとしてサンカノゴイの邪魔をしてしまっていたのかもしれないと思いました。堤防上で観察するときは姿勢を低くしたり、草かげを利用して、これからはなるべく彼らから姿が見えないような工夫をして、行動をできるだけ妨げないようにした方法を考えていきたいです。
この反省を含めて、これからはどの探鳥地でも、
「ここにいれば影響はない」
ではなく、
「ここにいて鳥たちに影響は本当にないのか?」
と自問自答をしながら鳥の観察をするように心がけていきたいと思います。
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