2022年11月5日土曜日

花火とハクチョウ:新潟市鳥屋野潟の例

ラムサール条約に登録されている湿地で、新潟市が日本一のコハクチョウの飛来地として認知しているはずの鳥屋野潟での出来事について、Jさんから教えていただいたツイッターで確認しました。



新潟まつり花火ショー
開催期間 2022年11月3日(木曜日・祝)
開催時間 18時30分~
住所 新潟県新潟市中央区信濃川河畔
交通アクセス ●JR新潟駅またはJR越後線「白山駅」より徒歩で15分
●北陸自動車道「新潟西IC」または磐越自動車道「新潟中央IC」より車で15分

新潟市の市の鳥はハクチョウですし、多数のハクチョウが周辺地域に飛来していることは観光に携わる方々が、ご存じないということはないでしょう。

環境省のサイトを見ると、コハクチョウの繁殖地は北極圏で、google mapでざっと距離を測ると鳥屋野潟から約4000km離れています。

↓ハクチョウ・カモ類の飛来経路及び移動状況について(環境省)

その距離を自力で飛んできて、やっと落ち着いたときにこの花火では、ハクチョウたちはさぞ困惑したでしょう。観察内容を見ると、親からはぐれた子供のハクチョウがいるようで、地元の方もツイッターで花火の影響について指摘されています。

自分がヘトヘトになって疲れて帰ってきて自宅で寝ているときに、耳元で爆竹を鳴らされることと同様であることを想像して欲しいものです。もちろん、ハクチョウにしてみれば「びっくりしちゃったかな」というレベルの話ではないと思われます。

コロナでいろんなイベントが中止されてましたが、ここにきて普段の開催時期とずれていても開催する花火が増えてきています(11/05には土浦学園橋付近で花火が上がったようです)。日本で環境保全や野生生物との共存の認知が進んできたのですから、自然環境の豊かな場所で花火をする際は、アセスメントを必須とすることまではなくとも、その場所で生息する野生生物たちへの影響は事前に検証する時期に来ていると思います。

花火で?館林・城沼のハクチョウ姿消す 専門家「飛来しなくなる可能性」 場所や時期を検討へ 上毛新聞:2021/12/5

中海における花火のハクチョウへの影響について(日本の白鳥 2000)


もう一度言います。新潟市の市の鳥はハクチョウです。

新潟市の市の鳥:ハクチョウ制定理由

にいがた観光ナビ
にいがた観光ナビサイトの文章の一部を以下に。

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白鳥は、何千キロも離れた遠いシベリアから、越冬のためにこの地を選んで飛んで来た大事なお客様です。  
白鳥は警戒心が強く、一度危険な目にあった場所には近づきません。  
白鳥が安心して越冬できるように、次のことにご協力ください。
●犬などのペットを連れての白鳥観察はお控えください。
●フラッシュを使用してのカメラ撮影はお控えください。
●その他、白鳥を驚かせるような行為はお控えください。

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サイト文章ここまで。

公益社団法人 新潟県観光協会が、公式サイトで「ハクチョウは大事なお客様で、白鳥を驚かせるような行為は控えてください」と謳っています。

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11/12追記
新潟日報2022年11月12日(土) 13:21
鳥屋野潟のハクチョウ無事戻る

ひとまず数が戻ったのは良かったですが、それが本当に「花火の日にいた個体群」なのか、それとも「花火後に北方から飛来した別の群れ」なのかによって、影響の度合いは大きく変わるのではないでしょうか。はぐれた幼鳥などが親鳥ときちんと再会できているかどうかも追跡の必要性を感じます。

それにハクチョウしか確認していないことも気になります。

もっと慎重にデータ収集をして、影響について検証する必要があるのではないかと考えます。

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