2016年12月30日金曜日

野鳥を観察した地名をネットやブログ掲載することについて

「ヒヨ吉さんのブログには野鳥を観察した地名が出てこないので、つまらない」

2016年に、こんなことを言われました。その後ずっと、訪問した地域をどのように載せるかを悩んでいました。


携帯電話の普及以降、情報拡散スピードは格段に変わりました。最近ではブログやツイッターなども加わったことで、観察した人と直接知り合いではなくても鳥の名前をネット検索することで現れた場所がわかる時代になりました。


私が地名の掲載を控えたところで、他の人が載せてしまっているケースもよくあります。しかしだからといって、観察地の情報をブログなどネット上に次々と載せてよいかと問われれば、私は慎重に判断するべきだと考えています。

そのまず大きな理由の一つには、ネットで鳥の情報を得た人が、必ずしも鳥の生態に詳しいとは限らないことが挙げられます。


もちろん、ほとんどの人がルールを守って観察していると思いますが、普く全ての人が鳥の環境の周辺の住民や鳥の気持ちになっているかというと、そうではないというのが残念ながら実情です。鳥に夢中になりすぎて私有地に無断で入り、地主の方から厳しい注意を受ける事態も起きています。


公園では、一般の来園者が画面内に入るのを嫌ったカメラマンが歩行者に向かって怒鳴ったりする事例がありますし、三脚をたたまないで歩くのは子供たちに危険なので閉じてほしいと頼んでも無視をしたり、あからさまに不機嫌な顔をして周囲に方を不快にさせる人もいます。


撮影のために、環境に合わない植物を移植したり、餌付けをする人もます。餌付けは餌の管理や周辺住民との関係もあるため、自宅の庭など給餌を冬の間継続できる自分自身の土地での餌付け以外は控えてほしいと思います。

例えば何かのアクシデントで餌付けをしている人がその場所に来られない事態が1日でもあると、その鳥は餓死をしてしまうかもしれません。餌付けによって不自然に餌資源が増えた状態になっているだけであって、もともとその地域の自然環境が鳥の生活を支えているわけではないからです。鳥を愛でているはずが、鳥の死を早めていることになるのです。


鳥は自由にはばたき、そこが生息に適さなくなればどこにでも行かれると思っている方もいるでしょう。しかし現実的にはそうではなく、条件の良い環境には同じ環境を好む生物がその場所を既になわばりにしているため、次の場所は簡単に見つからないのが野生の常です。


加えて、人間の開発によって環境変化が著しい世の中となった今、野鳥たちの選択肢はどんどん狭まっているはずです。環境の破壊のほか、近年は気象変動が長距離の渡りを行う鳥に大きなダメージを与えているという報告も多く見られます。

北極温暖化でシギが小型化、南半球でも生存不利に
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/051600169/?ST=m_news
鳥は地球温暖化問題の隠れた犠牲者
http://tokyo.birdlife.org/archives/news-and-world/world/4754
北米の野鳥、気候変動で半数が絶滅危機
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9722/?ST=m_news

ネット検索をすると観察した地名を明らかにしたブログが数多く見つかりますし、そのようなサイトをまとめているものも見られます。マナーを呼びかけていますが、それが守られているかどうかは確認の手段がありません。


人気のある鳥と観察地を具体的に掲載すると、ブログのアクセス数は増えます。数字の増加することを、嬉しく思っている方もいるでしょう。


しかし、その観察地に生きている鳥は、人気のある鳥だけではありません。他の鳥も棲んでいることを常に意識してほしいと思います。


越冬期や渡りの時期でも同じではありますが、特に繁殖期に具体的な観察地名を掲載することは、多くの鳥たちの子育てを邪魔してしまうことが容易に予測できますので、慎むべきでしょう。野鳥を観察や撮影をするのが好きな人間の身勝手な欲求を満たすために鳥の命が奪われることはあってはなりません。

あなたのお子さんやお孫さんが可愛らしいからといって、ご自身の家の前に見知らぬ人間がずっとレンズを向けている生活を想像してみてください。自分がされたら嫌だと思うことを、鳥にもしないという気持ちが大切です。


アクセス数の増加と引き換えに、野鳥の生活を脅かしているかもしれないことに想いを巡らせる方が増えてほしいと思います。

「鳥を見に行く」ということは鳥のお宅にお邪魔すること。粗相があってはいけません。


鳥の観察や撮影をされるプロフェッショナル級の方々にお会いしてフィールドでのマナーについての話になると、野鳥に興味を持った方々に「鳥がその場にいること」の背景に想いを巡らせる “想像力” を養ってもらうためにはどのようなことを伝えて行くべきかという話題になることがあります。鳥がいなくなってしまうような事態を防ぐために、どのようなことをすればよいのかはとても難しい課題です。

しかし、このことを考えるときに、私にはある経験を基に、軸となる考え方を持つようにしています。


私は小学生から高校生までの期間、山中でのゴミ拾いを年4-5回ほどしておりました。毎回20-30人くらいの参加者で、毎年ものすごい量を回収しており、一回の回収でトラック一台分になることもよくありました。そのとき感じたのは、100人の入山者がいて、99人の人がゴミを持ち帰っても、1人の人がゴミを捨てたら、そこには「ゴミ」があることになり、汚れた山になってしまいます。


このことを鳥の情報に当てはめると、「99人がそこにいる鳥を大切にしていても、1人が鳥や周辺の方々への配慮を怠ると、鳥がいなくなったり、付近の住民は “鳥を見に来る人” に嫌悪感を抱く」ということになります。


私も野鳥のことを調べるときに、ネット検索は便利なので使用することがあります。そして、意図せず飛来地や生息地の具体的な地名が載せてある情報に行き着くこともあります。しかし基本的には話題にならなくなったり、その鳥が飛去するまでその場所へ行かないようにしています。

飛去後に行って何か楽しいかと言われますが、その鳥が好む環境を実際に見ておくことで、今後の自分で発見できるための参考にしています。


若い人の中には同じような方法でサイト活用している人がいることを知りました。そのようなことを知ってしばらくして若い人から、

「ヒヨ吉さんのブログに載っている写真は、野鳥の好む生息環境をわかるようにしてあるものがあって、環境で鳥を探すときの参考にしています」

という声を聞くようになりました。それを意図しての掲載ではなかったのですが、鳥の気持ちになってみれば見えてくるものがあるということのようです。

それを聞いて、野鳥観察を地域振興資源として発展させていきたいことを謳っている地域は地名を載せ、そうでない地域は地名を伏せて掲載していくことを基軸にするのが良いのではないかと考えるようになりました。このブログでは鳥の見られた地名を載せることではなく、

「鳥をはじめ、生きものが多く生息するために自分のできること」

について考えて行動できる、想像力豊かなバードウォッチャーや野鳥カメラマンが増えるためにできることを考えて続けていこうと思います。これからも撮影地の詳細な情報は基本的には載せないことにします。よろしくお願い致します。


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